よむねこ

本と映画の感想。あといろいろ。

『完全自殺マニュアル』を読んでみた。

突然ですが、「自殺」ってなぜしてはいけないんでしょうか?

 

「命は大切にしなきゃいけないものだから」?

「家族が悲しむから」?

「甘え」?

「生きていればもっといいことがあるから」?

 

色々と答えがでてくるかと思いますが、どれも正解で不正解な気がします。

私は昔、自ら命を断とうとした人を止めた(?)ことがありました。近しい人だったのですが、遺書みたいなものを発見してしまい相手に聞くと泣きながら「ごめんね」と言われたことを未だに忘れることができません。その人が本当に死ぬつもりだったのかはわからないので「止めた」とは言えないかもしれませんが、「本当に止めてよかったんだろうか。」と考えることがあります。まぁ今は笑顔で生活しているので止めてよかったんでしょうけど。

でも、その人が今も苦しんでいるんだとしたら私は止めたことを後悔していたと思うんですよね。

 

もうひとつ質問ですが、

あなたがもし自殺する立場だとして、その自殺を止められて嬉しく思いますか?

辛い日々からやっと抜け出せると思った瞬間、もとの苦しい日々に引き戻される。「今」が本当に辛いんだったら嬉しくないはすです。

 

さて、「自殺」は本当にしちゃいけないことなんでしょうか。

タイトルに「自殺」とつく本の内容はほとんどは優しい言葉が書いてあったり、「自殺」とは遠い存在になっています。

amazonで「自殺」と検索するだけでもほとんど自殺のお手伝いをしてくれなさそうな本がたくさんヒットしました。

 

そんななかで私が「自殺」にもっとも近い本だと思うのが『完全自殺マニュアル』です。ちょっと厨二っぽい本ですが(笑)

 

確実に死ねる方法が書いてある 

 この本には11種類の自殺の方法が紹介されており、そのひとつひとつに絶対死ぬための詳しい説明や方法が書かれています。私が特に「うわ~、詳しすぎて大丈夫か!?」と思ったのが「クスリ」による自殺の項目です。どの薬をどのくらいの量服用すれば確実に死ねるのか、薬品名もしっかり書かれています。しかも、薬局等身近な場所で手に入るようなものばかりでした。(ちょっと昔の本なので現在薬局で買えるかはわかりませんが)それだけでも「ひえ~~~~!!!」となりますがこの本はまだまだそんなもんじゃありません。

いちばん避けなければならないのが、飲んだクスリを吐き戻してしまうことだ。

完全自殺マニュアル』p.15

 

 アルコールを同時に飲むことは必須条件だ。中枢神経に作用するクスリには、相乗効果があるし、どのクスリに対しても溶解速度を速め、併用したときの効果は50%アップするとも言われる。飲み物はアルコール以外にも十分用意しておいたほうがいい。

そして、決して人に見つからない場所を選ぶこと。最低8時間はひとりでいられる場所を確保したい。たとえばホテルが最適だ。数時間以内に見つかるようなことがあれば、自殺も未遂に終わり、鼻から水を入れて胃のなかにためて吐かせることを何度も繰り返す胃洗浄の苦痛を味わわなければならない。

完全自殺マニュアル』p.18

 自殺する手段だけでなく、自殺を成功させるためのアドバイスまで書いてあります。

なんかちょっと生々しいですよね。さらに、それぞれの自殺の方法に苦痛、手間、見苦しさ、迷惑、インパクト、致死度がランクづけされているのもこの本の特徴です。「見苦しさ」の項目があることが「死んだ後にも「美」を気にするんだな」と個人的にちょっとおもしろかったポイントでした。

 

自殺を助ける本なのか

ここまで自殺に関して手取り足取り助けてくれる本ってなかなかありませんよね。「自殺しよう!こうやれば死ねるよ!」と誘っているようなものです。でもこの本、本当に自殺を助けるための本なのでしょうか。

 

こういう本を書こうと思ったもともとの理由は「自殺はいけない」ってよく考えたら何も根拠のないことが、非常に純朴に信じられていて、小学校で先生が 生徒に「命の大切さ」なんていうテーマで作文を書かせちゃうような状況が普通にあって、自殺をする人は心が弱いなんてこととが平然と言われていることにイヤ気がさしたからってだけの話しだ。「強く生きろ」なんてことが平然と言われている世の中は、閉鎖してて息苦しい。息苦しくて生き苦しい。だからこういう本を流通させて、「イザとなったら死んじゃえばいい」っていう選択肢を作って、閉鎖してどん詰まりの世の中に風穴を開けて風通しを良くして、ちょっとは生きやすくしよう、ってのが本当の狙いだ。

別に「みんな自殺しよう!」なんてつまらないことを言っているわけじゃない。生きたきゃいきればいいいし、死にたければ死ねばいい。生きるなんて、たぶんその程度のものだ。

完全自殺マニュアル』p195

ちょっと厨二っぽい部分もありますが、この本は「イザとなったら死んじゃえばいい」って言葉そのものだと思います。

 

 「自殺はいけない」と言う人は多くいます。が、「死ぬこと」が「いけないこと」だ、と言う人は少ないんじゃないでしょうか。

寿命で死んでしまうことに、「だめだ!」と言っても止めることはできませんよね。

そもそも私たちは誰しもが「死」から逃れることはできませんし、自分がいつ死ぬのか予想することもできません。

病気であったり、事故であったり、「死」には様々な原因がありますが、自殺もそのなかのひとつではないのかと思います。

原因は違ってもそこがその人にとっての「寿命」っだっただけ。あまり「生きる」ことや「死ぬこと」を複雑に考えず、イザとなったら生きればいいし、死ねばいいのです。

 

まとめ

もちろん私は自殺をしようと思ってこの本を手にしたわけではありませんし、決して自殺を勧めているわけでもありません(※大事※)。苦しいのと痛いのは嫌いなので自分から命を断つことは絶対にしません。が、「自殺ってそんなにハードルが高いものじゃないな」とこの本を読んで思いました。というよりかは、「自分が苦しくなるまで頑張らなくてもいいいんだ。」と気が楽になったという方が適切かもしれません。「お守り」として一冊もっておいても損はない本ですよ